治療が終わっても「関係」は終わらない

歯科医院において、
「治療はきちんと終わったのに、次回の予約が入らない」
「リコールの案内をしても、なかなか来院につながらない」
といった悩みは少なくありません。

しかし、再診やリコールにつながるかどうかは、治療内容だけで決まるものではありません。大きなカギを握っているのが、治療の最後に行う“クロージングトーク”です。

治療後のひと言が、
「もう通わなくてもいいかな」
になるか、
「またこの医院に来たい」
になるかを左右します。


クロージングトークとは何か?

クロージングトークとは、治療や説明の最後に行う、次回につなげるための言葉がけや対話のことです。

単なる
「次は〇日に来てください」
ではなく、

  • 患者様の頑張りをねぎらう
  • 治療の意味を振り返る
  • 今後の見通しを共有する

といった要素を含めることで、患者様の気持ちは大きく変わります。


なぜ再診・リコールにつながらないのか

再診率・リコール率が低下する背景には、次のような理由があります。

  • 治療が終わった達成感で通院意欲が下がる
  • 次回の必要性が十分に伝わっていない
  • 医院との関係性が「治療だけ」で終わっている
  • 忙しさの中で優先順位が下がってしまう

つまり、「行かなければならない理由」と「行きたい気持ち」の両方が不足している状態です。


クロージングトークの土台は質問型歯科カウンセリング

効果的なクロージングトークを行うためには、治療の最後になって急に言葉を考えるのではなく、治療全体を通じた質問型歯科カウンセリングが重要です。

質問型歯科カウンセリングを通じて、

  • 患者様が何を不安に思っているのか
  • どんなことを大切にしているのか
  • どんな変化を実感しているのか

を把握しておくことで、クロージングトークは自然で心に残るものになります。


「次回も来たくなる」言葉がけのポイント① 変化を言語化する

患者様自身が気づいていない変化を、言葉にして伝えましょう。

例:
「最初に比べて、かなり炎症が落ち着いてきましたね」
「ご自身のケアも、すごく上手になっています」

自分の努力や変化を認めてもらえると、患者様は
「続けて通う意味がある」
と感じるようになります。


ポイント② 次回の目的を明確にする

「次回は〇〇をします」という作業的な説明だけでは、通院動機は弱くなります。

×「次はクリーニングです」
○「次回は、今日きれいにした状態をキープできているかを一緒に確認しましょう」


ポイント③ 患者様の生活に結びつけて話す

治療やメンテナンスの意義を、患者様の日常生活と結びつけることで、実感が高まります。

例:
「この状態を保てると、食事も今より快適になりますよ」
「今のうちにケアしておくと、将来的な治療負担が減ります」

生活にメリットがあると感じたとき、再診への意欲は高まります。


ポイント④ 選択権を患者様に委ねる

強制的な言い方は、かえって通院意欲を下げてしまいます。

例:
「次回は〇週間後と〇か月後、どちらが通いやすそうですか?」
「このタイミングで来ていただくのと、少し間を空けるのと、どちらが良さそうでしょうか?」

選べる余地をつくることで、患者様は自分で決めた来院として前向きに受け止められます。


スタッフ全員で行うクロージングトークの重要性

クロージングトークは、歯科医師だけの役割ではありません。

  • 歯科衛生士による治療後の声かけ
  • 受付での予約確認時のひと言
  • 会計時のさりげないフォロー

これらが一貫していることで、患者様は
「大切にされている」
「覚えてもらえている」
と感じ、医院との関係性が深まります。


再診・リコール率が上がる医院の共通点

  • 治療の終わりを丁寧に扱っている
  • 患者様との会話を「次」につなげている
  • 数値管理だけでなく、関係性を大切にしている
  • スタッフ全員が同じ方向を向いている

再診・リコールは、仕組み+コミュニケーションの積み重ねで成り立ちます。


まとめ:最後のひと言が、次の来院をつくる

再診・リコールにつながるかどうかは、
治療の良し悪しだけで決まるものではありません。

治療の最後に、

  • どんな言葉をかけるか
  • どんな関係性を残すか

その積み重ねが、
「またこの医院に来たい」
という気持ちを育てます。

質問型歯科カウンセリングを軸に、
次回につながるクロージングトークを、ぜひ意識してみてください。