説明しているのに「伝わっていない」理由
歯科医院では日々、治療内容や方針について丁寧な説明が行われています。しかし、
- 「説明は受けたけれど、よく分からなかった」
- 「同意はしたが、不安が残ったまま治療を受けた」
このように感じている患者様は、実は少なくありません。
その原因の一つが、インフォームドコンセントとカウンセリングの違いが十分に理解されず、うまく使い分け・融合されていないことにあります。
本記事では、
- インフォームドコンセントとは何か
- 歯科カウンセリングとの違い
- 両者を融合させる重要性と実践ポイント
について、分かりやすく解説します。
インフォームドコンセントとは?
インフォームドコンセントとは、
医療者が治療内容・目的・メリット・リスク・代替案などを十分に説明し、患者様が理解・納得したうえで同意することを指します。
歯科においては、例えば以下のような説明が該当します。
- 現在のお口の状態
- 治療方法の選択肢
- 治療期間や回数
- 費用
- 起こり得るリスクや副作用
インフォームドコンセントの目的は、患者様の自己決定権を守ることです。
法的・倫理的にも非常に重要で、歯科医療に欠かせない考え方です。
歯科カウンセリングとは?
一方、歯科カウンセリングは、
患者様の気持ち・不安・価値観・希望を引き出し、理解するための対話です。
特徴としては、
- 患者様が「話す」時間が多い
- 正解を押し付けない
- 感情や背景を大切にする
といった点が挙げられます。
例えば、
- 「歯科治療で怖かった経験はありますか?」
- 「見た目と機能、どちらを重視されますか?」
- 「治療に対して一番不安な点は何でしょうか?」
といった質問を通じて、患者様自身も気づいていなかった本音や価値観を明確にしていきます。
インフォームドコンセントとカウンセリングの違い
両者の違いを整理すると、次のようになります。
| 項目 | インフォームドコンセント | カウンセリング |
|---|---|---|
| 主体 | 医療者 | 患者様 |
| 目的 | 理解・同意 | 気持ち・価値観の共有 |
| コミュニケーション | 説明中心 | 対話・質問中心 |
| 内容 | 事実・情報 | 感情・希望 |
どちらか一方だけでは、本当の意味での納得と安心にはつながりません。
なぜ「融合」が必要なのか?
説明だけでは不安は消えない
どれだけ丁寧に説明しても、患者様の不安や恐怖、過去の体験に触れなければ、心からの納得は得られません。
カウンセリングだけでは判断できない
逆に、気持ちを聞くだけで医学的な説明が不足すると、患者様は正しい判断ができません。
だからこそ重要なのが、
「カウンセリング → インフォームドコンセント → 再確認」という融合型の流れです。
融合型コミュニケーションの理想的な流れ
- カウンセリングで患者様の背景を知る
不安・希望・価値観・生活スタイルを把握する - インフォームドコンセントで選択肢を提示する
患者様の考えに合った治療法を、分かりやすく説明 - 再度質問し、理解と納得を確認する
「ここまでで疑問はありませんか?」
「この治療について、どう感じましたか?」
この流れを意識するだけで、治療への納得度は大きく変わります。
融合がもたらす歯科医院側のメリット
インフォームドコンセントとカウンセリングを融合させることで、次のような効果が期待できます。
- 患者様満足度の向上
- クレーム・トラブルの予防
- 治療中断の減少
- 自費治療への理解が深まる
- 信頼関係が強化される
- リコール率・継続通院率の向上
結果として、「説明が丁寧で信頼できる歯科医院」という評価につながります。
スタッフ全員で共有することが重要
この考え方は、歯科医師だけでなく、
- 歯科衛生士
- 受付スタッフ
- カウンセラー
など、医院に関わるすべてのスタッフで共有することが重要です。
患者様は、医院全体の雰囲気や対応を通じて「信頼できるかどうか」を判断しています。
まとめ:選ばれる歯科医院は「説明+対話」を大切にする
これからの歯科医療では、
説明する力(インフォームドコンセント)と
聴く力(カウンセリング)
の両方が求められます。
この二つを融合させることで、患者様は安心し、納得し、自ら治療を選べるようになります。
それこそが、患者様に長く信頼される歯科医院づくりの第一歩です。
