なぜ「わかりやすい説明」が重要なのか
歯科医院で患者様からよく聞かれる言葉に、
「正直、よく分からないまま治療が進んだ」
「説明は受けたけれど、難しくて理解できなかった」
といった声があります。
歯科治療は専門用語が多く、患者様にとっては見えない・想像しづらい世界です。そのため、どれだけ丁寧に説明しているつもりでも、「伝わっていない」ことは少なくありません。
これからの歯科医院に求められるのは、治療技術だけでなく“説明力”です。患者様が内容を理解し、納得したうえで治療を選択できるかどうかが、満足度や信頼関係を大きく左右します。
本記事では、「治療内容をわかりやすく伝えるための工夫」について、すぐに実践できるポイントを解説します。
患者様が「わかりにくい」と感じる理由
まず、患者様が説明を理解できない主な理由を整理しましょう。
- 専門用語が多すぎる
例:「歯周ポケット」「プロービング」「咬合」など - 情報量が一度に多い
短時間で詰め込みすぎてしまう - 患者様の知識レベルを前提にしてしまう
医療者側の「当たり前」は患者様にとって未知の世界 - 患者様が質問しづらい雰囲気
分からなくても「はい」と言ってしまう
これらを踏まえたうえで、説明方法を見直すことが重要です。
工夫① 専門用語は「使わない・言い換える」
最も基本的で効果的なのが、専門用語を極力使わないことです。
×「歯周病が進行して歯槽骨が吸収されています」
○「歯を支える骨が、少しずつ溶けて弱ってきています」
どうしても専門用語を使う場合は、
「専門的には〇〇といいますが、簡単に言うと〜です」
とクッション言葉を入れるだけでも、患者様の理解度は大きく変わります。
工夫② たとえ話・日常表現を活用する
治療内容をイメージしやすくするには、たとえ話が非常に有効です。
例:
- むし歯 →「木がシロアリに食べられている状態」
- 歯周病 →「家の基礎が少しずつ崩れている状態」
- 被せ物 →「歯のヘルメット・帽子」
日常生活に置き換えることで、患者様は直感的に理解できます。
工夫③ 視覚情報(見せる説明)を取り入れる
人は「聞いた情報」よりも「見た情報」の方が記憶に残りやすいと言われています。
- 口腔内写真
- レントゲン画像
- イラストや模型
- タブレットでの簡単な動画説明
「百聞は一見にしかず」。
視覚情報を使うことで、患者様の理解度が高まり、説明時間の短縮にもつながります。
工夫④ 一方的に話さず「質問」を挟む
説明が伝わっているかどうかを確認するには、質問型のコミュニケーションが欠かせません。
例:
- 「ここまでで分かりにくい点はありませんか?」
- 「この治療について、どう感じましたか?」
- 「ご不安な点はどこでしょうか?」
質問を挟むことで、患者様は「理解していいんだ」「聞いていいんだ」と安心し、双方向のコミュニケーションが生まれます。
工夫⑤ 説明は「分けて・繰り返す」
初診時にすべてを説明しきろうとすると、患者様は混乱してしまいます。
おすすめなのは、
- 初回:全体像と目的
- 治療前:今回の処置内容
- 治療後:経過と次回の説明
というように、段階的に・繰り返し伝えることです。繰り返すことで、患者様の理解と納得が深まります。
わかりやすい説明がもたらすメリット
治療説明を工夫することで、医院には次のようなメリットがあります。
- 患者様満足度の向上
- クレーム・トラブルの減少
- 自費治療の理解・納得が得られやすい
- スタッフへの信頼感アップ
- リコール率・継続通院率の向上
つまり、「わかりやすく伝える力」は医院経営にも直結する重要な要素なのです。
まとめ:説明力は“技術”として磨ける
「説明が苦手」「話すのが得意ではない」と感じている方も多いかもしれません。しかし、わかりやすく伝える力は才能ではなく技術です。
言葉を選び、質問をし、患者様の反応を見る。
この積み重ねが、患者様に選ばれる歯科医院をつくります。
まずは一つでも、今日から取り入れてみてください。
